臨床生理検査と技術 Ⅰ 心電図検査
[4]心電図の波形
渡辺 数由
1
,
中塚 喬之
2
1富士市立中央病院検査科
2東京慈恵会医科大学第4内科
pp.414-422
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204067
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生理機能検査では技師に要求される重要な課題が二つある.それは,①"よい記録を残す"ことと,②"被検者の状態を把握し的確に対処する"ことである.特に直接生体を検査の対象とする生理機能検査では,被検者の精神状態や肉体的状況,検査を実施する周辺の環境,測定機器の設置条件など不確定因子が多く,アーティファクトが混入する機会も多い.外来や健診などでは再検査を行うことが難しく,疾患によっては機会を逃すと二度と同じ記録がとれないことすらある.
よい記録を残すためには,アーティファクト混入の有無,正確に導子が装着できているかどうか,不整脈出現時にその不整脈解析に必要な十分な記録がなされているかどうかについて注意する.心筋梗塞などが疑われる場合には,心筋梗塞波形がもっとも明確に表現できる部位へ電極導子を当てるべく考慮する.無痛性心筋梗塞や第2度,第3度の房室ブロックは外来の診察中には診断困難な症例も多いが,これらは重篤ですぐ処置を必要とする場合が多いので,このような症例に遭遇したときは主治医に緊急連絡をしなければならない.
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