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尿中白血球検出試験紙の有用性
石田 美久
1
1東京女子医大腎センター
pp.1383
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203943
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尿中には,その疾病によって赤血球,好中球,リンパ球,腎上皮細胞,移行上皮細胞,前立腺細胞,癌細胞など,また各種の円柱が見られる.これらの細胞成分は,疾病との関係において重要な意味をもつ.例えば,腎移植後における尿中リンパ球の出現は拒絶反応を早期発見するために役だつし,あるいは肉眼的血尿(macrohematuria)で,かつ癌細胞の出現を認めた場合,その癌細胞の種類によって原発部位の推定ができる.また尿中に多数の好中球を認めたときは,他の臨床症状と合わせて腎盂腎炎や膀胱炎など尿路系炎症を診断するうえで重要な所見である.いずれも顕微鏡的所見であり,細胞の鑑別,診断には熟練と経験を必要とする.
近年,顕微鏡を使用せず尿中の白血球(好中球)を検出するdip and read方式の試験紙が開発され,相次いで発売されている.そこで本試験紙の有用性や臨床応用について述べる.
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