形態学的検査と技術 血液と病理
病理
[1]免疫染色法
[C]酵素抗体法(間接法,PAP法,ABC法)—病理検査室でのルーチン化に当たっての注意点を中心に
西野 武夫
1
,
川井 健司
2
,
堤 寛
3
1千葉市立海浜病院中央検査科
2東海大学医学部附属病院病理診断科
3東海大学医学部病理学教室
pp.529-535
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203693
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はじめに
簡便で,かつ再現性,特異性に優れた免疫組織化学の手法は,各施設で病理組織検査に導入され,日々の診断業務に役だてられつつある.
酵素抗体法は,蛍光抗体法と異なり蛍光顕微鏡などの特殊な器具を必要としないこと,核染色を行うことによって抗原物質の局在と組織像との関係が観察できること,さらに永久標本として標本を保存できること,およびこれらにより判断の客観化が期待できることなど,優れた特長がある.しかも,多種の一次抗体と同時に,質の良い標識二次抗体,ペルオキシダーゼ-抗ペルオキシダーゼ(PAP)キット,アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ複合体(ABC)キット品などが市販され,誰にでも容易に染色できるようになっている.しかし,酵素抗体法に用いる抗体の性質や,組織内抗原の性状,染色結果の判定などに十分な注意を払わなければ,正確な抗原局在の追究はできない.
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