形態学的検査と技術 血液と病理
血液
[3]特殊血液形態学的検査
[E]透過型電子顕微鏡による血球観察
榎本 康弘
1
1慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.456-460
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203669
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血液形態学に電子顕微鏡が導入されたことにより,光顕レベルでよりはるかに詳細な情報が得られるようになり,各種血液細胞の同定および成熟度の正確な判定が可能になった.また巨核球系細胞の芽球にあっては,電子顕微鏡を用いることによって初めて正確な同定ができるようになった.一方,Andersonのin siteによる血液細胞の固定法の考案により,超薄切片法は安易になった.さらに血液細胞では不可欠なペルオキシダーゼ反応の電顕レベルでの応用は,通常の方法で観察するよりも骨髄性細胞の同定を安易とし,また巨核球の同定や赤芽球のヘモグロビンの合成能を見るうえでも役にたつ.本法を用いての血液細胞の電顕観察上の諸特徴を,一括して表1〜4に示した.
この章では,血液細胞は一般の組織の細胞と異なった状態にあるため固定法と電顕ペルオキシダーゼ反応法の記載のみにとどめた.固定以後の操作は他の技術書を参考にされたい.なお,各種血液細胞の鑑別に当たっての解説では紙数の都合上,簡略化した表現を用いた.詳細は文献を参考にされたい.
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