トピックス
セルソーターによるヒト染色体の分取
桃井 啓子
1
,
荻田 善一
2
1富山医薬大動物実験センター
2富山医薬大和漢薬研究所
pp.1019
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203500
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染色体が遺伝情報を次世代に伝える担手であることが発見されて以来,染色体の数,構造,機能に関するさまざまな研究がなされてきた.人類遺伝学の分野では,ヒトにおける染色体の数の異常,また転座,欠失などの染色体の構造異常と先天性異常症との関連性が明らかにされた.さらに,細胞融合法に代表される体細胞遺伝学の進歩は,染色体の機能を解明するうえで重要であるヒト染色体地図の作成に,大きな役割を果たした.
最近になって,細胞を自動的に分画・分取する装置,いわゆるセルソーター(細胞自動分離捕集装置)を用いることによって,細胞の大きさのわずか1/10にも満たない2μm以下の染色体を分画・分取する画期的な方法が考案された.特定の染色体を分取する積極的な方法の出現が,今までの染色体の研究に新しい展開を与えるものであると期待されている.
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