病気のはなし
大腸癌
高橋 孝
1
1癌研究会付属病院外科
pp.770-776
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202571
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大腸の特徴
幽門を越えて十二指腸に入った食物は,空腸,回腸を経て,約4時間ほどで回盲弁を越えて大腸に達する.大腸は盲腸,結腸,直腸とに分かれるが,結腸はさらにその形態にしたがって上行,横行,下行,S状結腸に区分される.さらに直腸の先には肛門管があるが,臨床的にはこれを含めて直腸と呼称している.したがって一般に腸管と呼ばれる部分は幽門を越えた所より始まり,肛門管に終わるまでの部分であり,大腸はそのおよそ下半部分を占めているわけである.
臨床的には,盲腸は結腸の一部に組み入れられるので,大腸は結腸と直腸とに大別される.このように区分することは解剖学的な区分と一致しないのであるが,診療する側からはきわめて重要なことである.なぜならば,大腸のこの二つの部分はあらゆる観点からみて互いに相違を示しているからである.この相違点を表1にまとめておく.
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