知っておきたい検査機器
初速度分析機
桑 克彦
1
1虎の門病院生化学科
pp.907-908
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201514
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1.初速度測定とは
酵素反応速度は,一般に反応が進行するにつれて,基質の減少や生成物の増加などによって遅くなる.ところが基質と生成物の濃度変化に関係なく,一定の速度で進行する反応つまり0次反応では,反応速度は酵素量に比例する.従って酵素反応速度を測定する時は,酵素反応が0次反応で進行する条件で測定を行うことがよいことになる.一方ミカエリス・メンテンの式
v=Vmax[S]/[S]+km
において[S]》kmの時,みかけの反応速度vは最大速度Vmaxに等しくなる.Vmaxは基質濃度[S]に依存されず,酵素濃度に比例する値であるから,vは一定となる.つまり時間とともに直線的に変化する.そこで反応開始後から反応が直線的に進行する直線部分を測定すれば,酵素活性が測定できることになる,このように反応開始時の反応速度,すなわち初速度を測定することになる.酵素反応による経時変化を連続的に測定し,吸光度変化を酵素活性値として表すのが初速度分析装置(酵素反応速度分析装置)である.
酵素反応速度分析装置は,分析方法としてbatch process方式と遠心方式とがあるが,ここでは広く使われていることと,基本に忠実である点でディスクリート方式のLKB 8600 Reaction Rate Analyzerを中心にして,特に問題の多いCPKの測定を例にとって述べる.
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