技術講座 生理
呼吸機能検査・1
宮澤 正治
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.522-526
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201405
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心臓及び肺の最も重要な機能は血液中に酸素(O2)を取り入れ,末梢組織へO2を送り込み,各組織の代謝により生じた老廃物,主として炭酸ガス(CO2)を外界に排出することにある.
この機能が心肺の疾病により障害されると肺機能不全に陥り,動脈血ガス成分の異常を来し,これにより各組織は正常な機能を営むことができなくなる.しかし人間を含めた動物の肺は,本来激しい肉体活動に備えてかなり予備能力を有しているので,安静時における動脈血ガス成分の異常は,肺機能障害が相当に進んでから初めて現れるものである.呼吸機能検査は病変が軽度のうちに機能異常を見いだし,また肺機能障害,呼吸不全の機序と程度を知り,診断し,患者の治療の有効性,予後などの判定,あるいは心肺疾患の手術適否の決定,術後の経過観察などに応用することであるから,このためには検出能力が敏感な方法でなければならない.
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