技術講座 病理
剖検介助・5—剖検後の遺体の処置と臓器の固定
清水 一男
1
1東海大病院中検
pp.37-39
発行日 1977年1月1日
Published Date 1977/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201255
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.剖検後の遺体の後始末
遺体からの臓器の採取とすべての観察が済んだら,最後に介助者によって遺体の縫合が行われる.剖検が終わったら取り残した臓器がないかどうか確認する.特に睾丸や大腿骨髄,必要部位の皮膚などの採取を忘れていないかどうか再確認する.次に臓器を取り除いたすべての体腔に血液などが貯ってないようにきれいにする.必要な検索が済み,遺体に返してもよいような臓器は体腔内に納める.その時には,肺のような胸部臓器は胸腔へ,肝,腸,腎などは腹腔内に納めるようにするとよい.臓器を遺体に返す時には必ず執刀医の許可を得てから行わなければならない.
臓器を取り除いたすべての体腔に,古ガーゼ,布切れなどの乾燥した詰め物を入れ,胸腔には胸骨とそれに連なる肋骨をかぶせ,皮膚切割面を合わせて太目の丈夫な縫合糸で縫い合わせる.縫合が終わったらガーゼを帯状にたたんで縫い目に載せて絆創膏などで止めるか,布製テープで縫い目が見えないように覆っておくと見苦しくなくてよい.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.