技術講座 血清
ASO価測定
上尾 八郎
1
1京大病院中検
pp.58-62
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200974
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1.原理
ASOとかASLOとは,抗ストレプトリジン-O(antistreptolysin-O)の略称である.ストレプトリジン-O(streptolysin-O以下SLOと略す)はその大部分がLancefieldの分類によるA群溶血性レンサ球菌(一部C群及びG群)により産生される菌体外毒素の一種である.この毒素は血球を溶解する作用があり,また強い抗原性と抗体産生能があるので,この菌の感染を受けると患者血清中にSLOに対する抗体,すなわちASOというSLOの毒素作用を中和する抗体が出現する.従って,この患者血清中のASO価を測定することにより,主にレンサ球菌感染に伴う猩紅熱,リウマチ熱,糸球体腎炎などの診断及び病気の進行状況を追跡するのに適用される.反応のメカニズムは次の毒素中和反応に基づいている.
(1)SLO+ウサギまたはヒト赤血球→溶血(酵素による溶解)
(2)SLO+ASO+ウサギまたはヒト赤血球→非溶血
このようにASO価測定は,SLOによる赤血球の溶血に対する阻止力を指標とする.
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