病人と病気と病院
臨床検査とその過誤をめぐって
佐藤 乙一
1
1国立立川病院研究検査科
pp.13-16
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200797
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最近検査技師の間でも医療過誤のことが真剣に話し合われるようになった.誠に良い傾向だと思う.昭和45年に検査技師法が改正されるまでは人体を直接対象とした検査,つまり生理関係などの検査は,当時の衛生検査技師の業務範囲には入っていなかったので,検査室で検査技師が心電図や脳波などの検査を行っていても,これはあくまで医師の全責任のもとに実施していた関係上,単なる医師の手足という立場で処理され,行政の上からもそのように考えられていた.従って検査室の主たる業務は看護婦や放射線技師などと異なり,直接患者に接することのない検体検査に終始していたため,ともすると患者を忘れた検査,すなわち"患者不在の検査"になるのではないかと心配されたこともあったほどである.
冒頭でも述べたように,検査技師の間で医療過誤が身近な問題として話題に上るようになってきたのは,何といっても検査技師法改正後のことである.このことは,高卒後3年以上の教育と一部分でも業務制限が加わり,名実ともに臨床検査技師が臨床検査の専門家として医療組織の中に位置づけられたからではないかと思われる.
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