検査の昔ばなし
化学検査のことなど
藤井 暢三
1,2,3,4
1東大
2日本医大
3東京逓信病院臨床検査科
4女子栄養大学
pp.40-42
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200781
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"検査の昔ばなし",こんな題が私に与えられると,しぜんに主として化学検査のことになってゆく.昔の話になるが,私は大学を卒業して医学士になり,すぐに医師免許証ももらえたので,医師の資格はできたものの,いましばらく勉強したいと思って,まず医化学(今の生化学)の教室に入れてもらった.興味のおもむくままに,かれこれ10年を過ごしてしまってから,初めて内科学専攻を志して,内科学教室に入れてもらったのが大正の終わり昭和の初めごろで,今からふりかえってみると約半世紀も昔のことである.
内科の医局に入ると,最初に,検査室で新卒の医学士諸君とともに医局の先輩から各自,一通り顕微鏡の使用法をはじめ,手回し遠心器での尿沈渣の集め方から尿,糞,喀痰などの検査法や血球の染め方など,当該医局伝来の各方式の種々の検査方法の指導を受ける.病室の受け持ちは,初めは官費患者のベッドであり,次いで三等,外来,結核,二等,伝染,そして一等の病室患者と,順次進んでいって,最後はベッドフライの上医になっていく仕組みであった.病室でも最初に,各自先輩から病歴のとり方,血圧の測定法,血液検査の手ほどきなど一応の指導を受ける.レントゲン検査や,心電図,ワッセルマン反応などの必要な場合は,そのつど古参の一定の係の医局員に依頼するのであった.
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