学会印象記
第25回電気泳動学会
大竹 皓子
1
1慶応病院中検
pp.56
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200680
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第25回電気泳動学会は10月26,27日,さわやかな秋晴れに恵まれた久留米市において,山崎晴一朗総会長のもとに開催された.電気泳動学会は昭和25年,一昨年逝去された児玉桂三先生によって創立された学会で今年で25回を数えるが,電気泳動学会の歴史は電気泳動法の発展の歴史とも言える.1930年,Arne Tiselius博士によって考案された電気泳動法が,生物,化学,医学などの分野において今日のような隆盛を見るに至ったのは,何といっても支持体電気泳動法の普及によるところが大きい.デンプンゲル,カンテンゲル,濾紙などのほかに,最近広く日常検査などに使用されているセルロースアセテート膜,ポリアクリルアミドゲルなどの分離能のすぐれた支持体の開発と電気泳動装置の改良が,分析精度ならびに分析の質的な向上をもたらしたとも言える.
さて,今学会では,一般演題45題,受賞講演,教育講演,会長講演,更にワークショップとして,ガスクロマト-質量分析計(GC-MS)による脂質の分析,シンポジウムではタンパク質分析と消化器というテーマで,それぞれ専門の先生がたの発表があった.受賞講演では西信三先生(北大生化学)が"α-Fetoproteinの生化学的研究"と題して,α-フェトプロテインの精製法,性状,動物種間での類似性などについて詳細な研究成果を発表された.検査室でも原発性肝癌のスクリーニングテストとして免疫化学的検出法が普及しつつあり,大変参考になる講演であった.
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