増刊号 超音波×病理 対比アトラス
8章 腎・泌尿器
3 左副腎の骨髄脂肪腫―60歳代女性
手島 伸一
1,2
,
鈴木 由美
1
,
平野 美和
3
1同愛記念病院研究検査科
2湘南鎌倉総合病院病理診断部
3同愛記念病院泌尿器科
pp.1158-1160
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104479
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症例の概要
60歳代,女性.膀胱刺激症状と潜血尿で当院泌尿器科を受診.腹部超音波を施行し,左腎上極に84×79mmの内部エコーがほぼ均一な高エコー腫瘤を認めた→図1.明らかなhaloはみられない.腎の血管筋脂肪腫や副腎の骨髄脂肪腫を疑ったが悪性も否定できなかった.入院後の腹部CTでは,左腎頭側方に63×70×64mmの脂肪性腫瘤があり,左副腎の骨髄脂肪腫が最も疑われたが脂肪腫や高分化脂肪肉腫も否定できず,左腎副腎全摘が行われた.摘出標本の肉眼所見は,左副腎に接して80×80×45mmの被膜に覆われた,褐色から一部黄色の脂肪織様の充実性腫瘍が認められた→図2,3.捺印細胞や組織的検索では骨髄脂肪腫であった→図4~6.すなわち,脂肪細胞と,骨髄実質に類似した造血細胞の集簇とを認めた.脂肪細胞が80%,骨髄造血組織が20%ほどを占め,それら各構成細胞に異型はみられなかった.腫瘍と連続性に,圧排され萎縮した副腎が認められた.
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