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解答と解説
pp.803
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104367
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母児間血液型不適合による新生児溶血性疾患(hemolytic disease of newborn,HDN)は,新生児が溶血による貧血と黄疸を起こすものである.母親がIgG(immunoglobulin G)型の血液型抗体を保有して,その抗体に対応する抗原が児の赤血球上に存在する場合に起こる.これは,胎児が父親から遺伝した母親にはない血液型抗原をもっているため,胎児-母体間出血が微量の異型輸血として働き,母親が抗体を産生するためである.
ABO不適合が約70%,Rh不適合が24%,その他の不規則抗体によるものが0.5%といわれている.ABO不適合は,O型の母親でIgG型の抗A,B抗体の力価が高い場合に第1子から起きる.不規則抗体によるものは第2子から起こり,Rh(D)陰性の母親がRh(D)陽性の児を出産すると抗D抗体を産生する.母親の間接抗グロブリン試験は陽性となり,胎盤通過性のあるIgG抗体が児の赤血球に感作したことで起きる血管外溶血である.不規則抗体によるHDNのほうが重篤となり,対応抗原陰性のABO同型血液で交換輸血が行われる.これは,ABO抗原が赤血球のみでなく血管内皮など多くの組織に発現しているため,必ずしも溶血反応にならないためと考えられている.
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