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はじめに
近年,医療機関を訪れる患者から求められているのは,安心・安全はもちろんのこと,迅速かつ質の高い医療である.一方で,医療技術や医薬品,医療機器,医療機材の開発は進んでおり,また,医療自体も高度化・複雑化しているので,それを扱う医療者は日々,技術の習得や知識の向上に努めていかなければならない.
ところが,さまざまな要因から医師・看護師など一部の職種の人材不足が生じ,昨今はそれが顕在化して,さらに加速している.一方では,全国的に高齢化が進むことで医療と介護の需要はさらに高まってきており,わが国は今や医療・介護における負のスパイラルに陥っているといえる.この厳しい現状のなかで,各医療機関では,臨床検査技師,看護師,薬剤師,理学療法士,放射線技師など,各医療職によるさまざまなチーム医療が試みられている.
1900年代末期からの診断技術の発展は目覚ましく,臨床検査においては数千項目にも及ぶ検体検査,生理機能検査,画像検査などに加え,あらゆる分野で新たな検査方法や機器が開発されている.また,治療においても新規薬剤や後発医薬品が増加するなかで,薬剤管理,投薬設計などの幅広い知識と技術が要求され,現場が人材不足で多忙を極めるなか,検査・治療は必ずしも適切に実施されていないのが現実のところである.
当院では2010年4月に,救命救急センターでの専門領域にこだわらない人員配置を行い,臨床検査技師,薬剤師の新たな活躍の場として“救命救急チーム”を発足させた.チーム医療の一環として,救命救急センターや病棟に臨床検査技師,薬剤師を常時配置し,医師の指示の下で診療補助業務および看護業務支援を行い,専門性を生かして医療の質と安全を向上させることを目的としている.
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