Laboratory Practice 〈生化学〉
疑似血液を用いた生化学精度管理調査
三宅 一徳
1
1順天堂大学医学部臨床検査医学
pp.119-122
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103843
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はじめに
外部精度管理調査は,臨床検査値の施設間互換性の確認と改善・是正に重要な役割を果たしている.日本医師会精度管理調査や日本臨床検査技師会精度管理調査など大規模精度管理調査の結果から見ると,わが国の生化学検査の精確度は極めて良好である.
しかし,これらの大規模調査は管理用試料を用いたオープン調査であり,多くの参加施設が試料を複数回測定して平均値あるいは中央値を報告しており1),日常検査の精確度そのものではないことが指摘されている.さらには“測定値に関する情報交換”を行うなど,明らかに不適切な対応が行われる場合もあるとされる2).
また,管理試料による調査では検査前誤差など分析外プロセスに起因する誤差要因は全く評価されない.一般開業医の大部分は未分離全血をそのまま衛生検査所に提出して血清生化学検査を実施しており,搬送プロセスや検体取り扱いが検査精度に大きく影響しうる.
このような背景から,東京都衛生検査所精度管理事業では東京都医師会から患者試料同等の外観をもつ試料を用いたブラインド精度管理調査を実施したいとの強い要望を受けてきた.これに応じて,平成22年(2010年)度から生化学項目についても疑似血液(全血)試料を用いたブラインド調査を開始した.本稿では疑似全血試料による生化学精度管理調査について,上記の実施例を中心に方法と成績,問題点などを紹介する.
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