Laboratory Practice 〈免疫血清〉
ルミネックス®システムによるHLA検査
柏瀬 貢一
1
1日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター検査部
pp.730-735
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103620
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はじめに
ヒト組織適合性抗原(human leukocyte antigen,HLA)は,ヒトのなかで最も多型性(個人差)を示す抗原系であることから,人類学では集団の類縁関係の調査,法医学では個人の特定や親子鑑定に利用されている.また,医療現場では特定の疾患においてHLA型が疾患感受性・抵抗性と相関することが知られていることから,疾患診断の信頼度を高める補強手段としてHLA型検査(以下,HLAタイピング)が利用されている.そして,移植分野ではレシピエントとドナーの適合性試験としてHLAタイピングが必要不可欠の検査として定着している1).さらに,レシピエントがドナーのHLA抗原に対するHLA抗体をもつ場合,臓器移植では超急性拒絶反応が惹起され,造血幹細胞移植では正着不全や好中球・血小板回復遅延の原因となるため,移植前のレシピエントのHLA抗体検査も重視されてきている2).
前述したとおり,HLAは極めて高度の多型性をもつことから,HLA型を検査するためには多数の塩基置換を解析し,HLA抗体を検査する場合には多数のHLA抗原と反応させる必要がある.本稿では,これら検査結果の精度を飛躍的に高めるルミネックス®(Luminex®)システムについて,その原理とHLA検査への応用について概説したい.
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