Japanese
English
増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典
Ⅰ 生化学
総ビリルビン
total bilirubin
大澤 進
1
1九州大学大学院医学研究院保健学科
pp.748-751
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103275
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
検査の概要
ビリルビンは血色素の主要構成物質であるポルフィリンの最終代謝産物として胆汁中に排泄される生体色素である.その構造は四つのピロール環が開いた直鎖状の構造をもち,赤色胆汁色素である.光線にあたると退色して構造変化をきたし水溶性が高くなることから,新生児黄疸の治療法として利用されている.
血清総ビリルビンには図のように非抱合ビリルビン,グルクロン酸が抱合された抱合ビリルビン,そして抱合ビリルビンとアルブミンが共有結合したアルブミン結合ビリルビン(δ-ビリルビン)が存在する.抱合ビリルビンはジアゾ試薬と直接反応できることから直接ビリルビン,非抱合ビリルビンは脂溶性であるためジアゾ試薬とはアルコールなどの溶媒添加により初めてジアゾ反応が生じることから間接ビリルビンと呼ばれる.アルブミンと結合したδ-ビリルビンは水溶性であることから直接ビリルビンとして分類されるが,アルブミンと結合しているためその代謝は遅延する.測定法は化学的な方法としてジアゾ法と化学酸化法,そして酵素法には従来のジアゾ法と同様な反応性を示す方法と抱合ビリルビンのみを特異的に測定する方法がある.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.