トピックス
臨床検査値学生用共通基準範囲の設定
康 東天
1
1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野
pp.708-710
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103261
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■臨床検査値を用いた教育を取り巻く状況
臨床検査値の基準範囲は各施設が独自に基準個体(健常人)の検体をその施設の検査方法で測定して設定し,臨床の場に提供するのが通常である.ほとんどの場合,施設間で異なった基準範囲が設定されており,医療の効率化や適正化の障害となっているのは周知のことである.
診療の場のみならず学生教育においても,その病院の患者を対象に臨床実習を受けるのであるから,その施設の基準範囲がそのまま用いられざるを得ない.それゆえ,異なった基準範囲をもとに全国の学生は臨床教育受けていることになる.一方で国家試験は全国共通であり,その問題文中に基準範囲の記載を省略してよい検査項目が多数あり,重要でよく利用されるものほど記載を省略してよい検査項目となっている.さらには現在では医学生は学部4年の時点でCBT(computer-based testing)と呼ばれる全国テストの受験を義務付けられている.このように,全国共通の基盤に基づいて行われなくてはならない医学教育が,実はこと臨床検査値に関しては脆弱な基盤のうえに乗っている.検査の標準化を通じて検査値の施設間差をなくし,検査結果を施設間で共有できるよう長年努力してきた臨床検査医学に携わる側は,当然そのことには早くから気付いていた.
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