Laboratory Practice 〈一般〉
蓄尿検査の意義と注意点
小川 真
1
1千葉大学医学部附属病院腎臓内科
pp.48-51
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103031
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はじめに
生命活動の過程で産生された老廃物を最小限の水とともに尿として排泄し,その蓄積を防ぐことは陸上生活を営むうえで必要不可欠である.また摂取した水・電解質についても,最終的に摂取量とほぼ同量が尿中に排泄されることにより体内の恒常性が維持されている1).したがって,尿は腎泌尿器系の病態の把握に必須であるだけでなく,物質の摂取量やその代謝プロセスの状況を把握するうえで極めて重要な情報を提供している2~4).尿検査の特色としては,①非侵襲的であり,②定量測定が可能であり,③経時的変化も評価できることが挙げられる1).上述の②の特色が最も生かされるのが蓄尿検査である.最近は簡便迅速な随時尿検査が選択されることが多く,やや煩雑な蓄尿検査は敬遠されがちである2~4).さらに院内感染,特に多剤耐性緑膿菌伝播の原因の一つに蓄尿検査が挙げられており5),その適応は以前よりも厳密に考えるべきである.しかし蓄尿による一日尿排泄量の正確な測定が必要な物質も多い.本稿では最初に尿試料の特色を述べ,次に比較のために随時尿検査の概要を述べたうえで蓄尿検査の意義について述べる.
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