増刊号 免疫反応と臨床検査2010
II 自己免疫
7 自己免疫性甲状腺疾患の検査
日高 洋
1
1大阪大学大学院医学系研究科臨床検査診断学
pp.837-841
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102904
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自己免疫性甲状腺疾患の検査とは
甲状腺特異的な蛋白に対して自己免疫反応を起こしているのが自己免疫性甲状腺疾患で,そのほとんどがBasedow病と慢性甲状腺炎(橋本病)である.
甲状腺細胞膜上に存在する甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone,TSH)のレセプターに対する自己抗体が,TSHレセプター抗体(TSH receptor antibody,TRAb)である.この抗体は通常,TSH様の甲状腺刺激作用を有すため甲状腺機能亢進症,つまりBasedow病を発症させる.この刺激活性を調べたのが甲状腺刺激抗体〔thyroid stimulating antibody(TSAb).保険収載上の検査名はTSH刺激性レセプター抗体〕である.したがって,Basedow病を疑った場合に測定する検査項目は,TRAbとTSAbである.なお,TRAbにはTSHの作用を阻害する抗体もあり,その場合には甲状腺機能低下症となる.この阻害活性を調べたのが甲状腺刺激阻害抗体(thyroid-stimulation blocking antibody,TSBAb)で,多くの検査会社で測定可能であるが,保険収載されていない.
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