増刊号 免疫反応と臨床検査2010
II 自己免疫
2 関節リウマチの検査
小柴 賢洋
1
1兵庫医科大学臨床検査医学
pp.818-821
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102899
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関節リウマチ検査に求められるもの
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)は関節に病変の主座をもつ原因不明の全身性疾患である.自己免疫機序により関節滑膜に炎症が起こり,種々の炎症性サイトカインや軟骨成分分解酵素などが多量に産生・分泌され,関節の破壊・変形をきたしADL(activities of daily living,日常生活活動)が障害される.世界的に人口の約1%,わが国では70~100万人が罹患しているとされ,若年者から高齢者まで罹患するが,働き盛りの年齢層が罹患しやすく,医学的のみならず社会的・経済的にも大きな問題となっている.
従来,RAでは病気の進行とともに関節の破壊も徐々に進むと考えられていたが,関節破壊はむしろ早期に進行することが近年明らかとなってきた.そのため,早期からメトトレキサートや生物学的製剤を用いた積極的な治療を行い,早期のwindow of opportunityを逃さず薬剤の効果を最大限に活用し,「寛解・進行防止」を実現することが治療目標とされている1).この治療戦略においてRAの早期診断や関節予後予測が極めて重要であり,そうした用途に用いることのできる血清マーカーが求められる.疾患活動性マーカー(evaluative tests)としては炎症マーカーであるC反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)と赤沈が頻用されている.
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