技術講座 生化学
―ホルモンの測定シリーズ・18 その他:3―オステオカルシン,尿中・血中NTx
佐藤 幹二
1
1前・東京女子医科大学大学院医学研究科内科系専攻病態治療学分野
pp.677-680
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102868
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新しい知見
オステオカルシン(osterocalcin,OC)は3個のグルタミン基を有している骨基質蛋白である.このグルタミン残基のγ位がすべてカルボキシル化されると活性のあるOCとなり,hydroxyapatiteと結合して骨形成に寄与している(図1).しかしビタミンKが不足していると,カルボキシラーゼ活性が低下してGla化されないオステオカルシン(undercarboxylated osteocalcin,UcOC)として血中に漏出してくる.血中UcOCが高値だと骨は脆弱となり骨折率が増加する.しかし,ビタミンKを摂取するとUcOCが減少して,骨折率が減少することが確認されている1~3).最近,OCには膵のβ細胞に作用して,インスリンとアディポネクチンの分泌を促進することが明らかとなった4).つまり,OCは脂質代謝にも影響を与えるホルモンであり,骨は脂肪組織と同様に内分泌臓器でもあることが解明されつつある.I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(type I collagen cross-linked N-telopeptide,NTx)は骨吸収を最もよく反映する骨代謝マーカーとして既に確立されており,目新しい新知見は見当たらない.
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