目指せ!一般検査の精度向上
―尿沈渣検査の精度向上:7―尿沈渣成分の鑑別―結晶・塩類
太田 惣
1
1KKR札幌医療センター臨床検査科
pp.1384-1388
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102674
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はじめに
尿中にみられる結晶・塩類は,摂取した飲食物や塩類代謝の影響により健常人でもみられる通常結晶と病的状態を反映している異常結晶および服用・投与された薬物に由来する薬物結晶がある.
尿は身体の恒常性を保つために生成されている代謝産物であり,結晶・塩類の多くは腎臓で濾過された成分(代謝産物)が尿路系や排尿後に採尿容器内で析出したものである.結晶・塩類の析出には尿中成分の溶解度・含有濃度,pH,温度,各種共存物質など種々の因子が関与している.これら一連の作用により形成された結晶・塩類は,尿pHにより出現する種類もおおよそ限られ,それぞれ特有の形態的特徴を示すことから尿沈渣検査では鑑別することが可能な場合が多い.しかしながら類似成分においては,酸やアルカリ溶液などによる溶解性を確認するなどの化学的性状を把握することも必要である.
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