増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
総論
2 標本の作製と保存
1 末梢血液の採取と標本作製
東 克巳
1
1杏林大学大学院保健学研究科
pp.1065-1067
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102582
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はじめに
血液形態検査は1枚の血液塗抹標本で種々血液疾患診断に直結する場合も多く,重要な検査の一つである.また,本検査の標本作製に必要な血液検体量はたかだか全血5μlという微量さである.現在行われている臨床検査のなかで,5μlという微量の血液検体量を用いて得られる情報量としては本検査に匹敵するものはない.
熟練者はこの末梢血塗抹標本から白血球,血小板の概数,貧血や血栓症の有無やマラリアなど寄生虫感染の有無などの情報を得ることができる.また,後述する骨髄標本であれば,白血病など造血器悪性腫瘍や特発性血小板減少性紫斑病などの診断はもちろんのこと,脂質代謝異常などに結びつく重要な情報を得ることができる.
これらの情報は適切に採取された末梢血液により,適切に作製された塗抹標本と適切な染色が施されていなければその情報量は半減もするし,場合によっては診断を誤らせる結果にもなりかねない.
本稿では末梢血液の採取と標本作製について概説する.
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