Laboratory Practice 〈微生物●内部精度管理・1〉
塗抹検査の内部精度管理
中村 文子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
pp.827-832
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102176
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はじめに
塗抹検査の有用性については今や語るまでもなく,迅速かつ的確な感染症診断に欠かすことのできない検査法である.近年,POCT(point-of-care testing)や遺伝子解析技術を駆使した起因微生物検出法1)が導入されているが,塗抹検査ほど安価で簡便なうえ,広範囲の微生物を識別できる検査法はない2,3).
塗抹検査の欠点を唯一挙げるとすれば,「経験と熟練を要す」ことであろう.①検査材料の品質,②塗抹標本の作製,③染色,④標本観察の一連の作業は,いずれも成績を左右する要因となる.したがって,感染症診断を担う検査室ではこれらが正しく実施されているか,技術的エラーはないかを日頃からチェックする体制を整えておかねばならない.
本稿では,主にグラム染色標本について,臨床へ有用な塗抹検査報告をするために必要な内部精度管理のあり方を解説する.
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