病気のはなし
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
高崎 由美
1
,
塚崎 邦弘
2
1日本赤十字社長崎原爆病院第三内科
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科附属原爆後障害医療研究施設 分子医療部門分子治療研究分野(原研内科)
pp.686-690
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102138
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サマリー
成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma,ATLL)は,ヒトTリンパ球好性ウイルス型(human T-lymphotropic virus type,HTLV-1)による成熟ヘルパーT細胞の白血病/リンパ腫であり,抗HTLV-1抗体陽性,そして末梢血・組織での特徴的な細胞形態,細胞表面形質,HTLV-1の単クローン性組込みを認める.主に母乳中のTリンパ球から感染したキャリアの数%が成人となってからATLLを発症する.好発地域は,西南日本沿岸地域,カリブ諸島,アフリカ諸国である.ATLLはaggressive typeの急性型,リンパ腫型と,indolent typeの慢性型,くすぶり型の4亜型に分類される.indolent ATLLは原則的に急性転化するまで経過観察されるが,aggressive ATLLに対しては多剤抗癌剤療法,同種造血幹細胞移植による治療成績に進歩が示されつつある.
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