オピニオン
外来迅速検体検査加算の明暗
米山 彰子
1
1虎の門病院中央検査部
pp.733
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101788
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昨年の診療報酬改定で外来迅速検体検査加算が新設され,早1年が経過した.この加算は日本臨床検査医学会が臨床検査点数委員会を中心に立案し提案したものが,原案とはだいぶ異なった形ながら実現したものである.筆者は,臨床検査点数委員会の新参の委員として提案にかかわらせていただき,その後委員長を拝命した直後に本加算が実現した.まさに今回依頼いただいたタイトルどおりの「明暗」を味わった.
全体的にマイナス改定となったなかで,検査関連の加算が新設され,既に一部の病院で行われていた外来迅速検査が評価されたという意味では画期的であり,大変喜ばしいことであった.外来迅速検査は,当日の診療に必要な検査を前回あるいは当日の診察時にオーダーされ,一定時間内に行うもので,「診察前検査」として位置付けているところが多い.直近の検査結果に基づく診療が可能になることにより,受診回数の削減,迅速な治療方針の決定や変更,緊急の対応を要する病態の重篤化回避などメリットが多い.診療報酬改定のなかでも「患者の視点の重視」と位置付けられているので,その臨床的価値は評価されたといえるだろう.血算,生化学,尿検査だけでなく,ホルモンや腫瘍マーカーまで対象にし,患者さんや臨床医から高く評価されている施設もある.加算を契機に迅速検査を実施する病院や迅速検査項目が増えることを期待しての申請であった.
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