コーヒーブレイク
21世紀型オーダーメイド医療実現化プロジェクトはどこまで進んでいるの?
橋本 寿美子
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1日本大学医学部先端医学ゲノム探索
pp.457
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101712
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“オーダーメイド医療実現化プロジェクト”は2003年6月に文部科学省の5か年計画国家プロジェクトとしてスタートしました.12の協力医療機関のメディカルコーディネータ(medical coordinator,MC)が患者さんから(目標30万人)ご協力の承諾を得て血液試料をいただきます.血液試料は東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターに集められます.東京大学と理化学研究所遺伝子多型研究センターとの二研究機関が個々の日本人の遺伝子暗号の違い,遺伝子多型すなわちSNP(single nucleotide polymorphism:1つの塩基が他の塩基に置換している)解析と血清蛋白質解析を行い,病気に罹りやすいか,薬が効きやすいか,副作用が出やすいかなどを調べます.これまで“体質の違い”と思われたことが個々の遺伝子の違いによることがしだいに解明されてきました.しかし,遺伝子情報の影の部分として差別が起こる可能性があり,遺伝子研究そのものが批判されます.そのためこのプロジェクトは重要な個人情報保持システムを完備した検査会社とID情報を管理する会社と連携し,研究からもたらされる光をいかに大きくし,影をいかに小さくするか,そして将来的なヒトゲノム解析医療が迅速に行われるようにするため,患者さんの理解と協力とを得られるよう努力しています.
本研究では下記の目的で遺伝子情報の解明がなされています.①オーダーメイドされたように各個人に最適な副作用のない治療法を研究開発する.②エビデンス(証拠)に基づく薬剤投与や創薬を目指す.③ゲノムから先端医療へとつながり,原因のわからない病気を解明する.④病気の予防に役立てる.
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