病気のはなし
皮膚筋炎と多発性筋炎―多発性筋炎検査所見を中心に
荒崎 圭介
1
1NTT東日本関東病院神経内科
pp.212-217
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101342
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新しい知見
31P-MRS(phosphorus-31 magnetic resonance spectroscopy):最近臨床応用が可能になってきたMR spectroscopy(MRS)は,患者の細胞代謝を生体内で検査できるという画期的検査法である.核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance;NMR)シグナルは,強力な静磁場内で高周波パルス(radiofrequency pulse,RFパルス)に曝された原子核から放出される.プロトン,リンなど異なる核種から最大のNMRシグナルを放出させるRFパルスの周波数は異なっており,この原子核の種類に固有の周波数を共鳴周波数と呼ぶ.また,NMRシグナルソースの核種周囲の環境が異なると,同じ核種であってもそのNMRシグナルが最強となる共鳴周波数が異なることが知られており,これが化学シフト1)と呼ばれる現象である.したがって横軸に周波数,縦軸にNMRシグナル強度をとってある核種から放出されるNMRシグナル強度をプロットすれば化学シフトを表現することができる.生体組織の一定の場所に存在する特定の核種から発生するNMRシグナルを記録し,その化学シフトを利用してその核種が構成するさまざまな物質の量的関係を明らかにする検査法をMRSと呼ぶ.筋細胞のエネルギー代謝を検出するには,この核種に 31Pを用いてMRSを行うとよい2).
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