私の一推し免疫染色
PDGFR
尾松 睦子
1
,
長谷川 匡
1
1札幌医科大学医学部病理診断学
pp.148-149
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101196
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はじめに
消化管に発生する間葉系腫瘍のうち,悪性リンパ腫を除いて最も頻度が高いのは,胃腸管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor,GIST)である.GISTの80~85%においてはc-kit遺伝子の突然変異とc-kit蛋白質(KIT)の発現が腫瘍の発生,進展に関与していることが示されている.一方,5~10%のKIT陰性GISTにおいては,PDGFRα(platelet-derived growth factor receptor α,血小板由来成長因子受容体α)遺伝子の相補的な変異が認められる.さらにKITを介した細胞内情報伝達系を特異的に阻害するメシル酸イマチニブが分子標的薬として用いられ,高い臨床的効果が上げられている.GISTには多彩な組織形態が見られるが,優位な組織パターンにより,紡錘形細胞型,類上皮型あるいは混合型と分類する.頻度としては,紡錘形細胞型が最も多く,次いで混合型,類上皮型の順である.
今回,混合型の組織像を示し,KITが陰性で,PDGFRα免疫染色によりGISTの病理診断が可能であった症例を経験したので呈示する.
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