増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第1章 病理 細胞像からここまでわかる
3.乳 腺
2)浸潤性乳管癌:充実腺管癌
都竹 正文
1
,
秋山 太
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2癌研究会研究所病理部
pp.914-916
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100748
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浸潤性乳管癌:充実腺管癌
乳腺の悪性腫瘍のうちで硬癌に次いで頻度の高い充実腺管癌を取り上げ解説する.
充実腺管癌(solid-tubular carcinoma)は充実性癌巣の周囲組織への圧排性・膨張性増殖を特徴とする癌で,髄様癌の特徴を示さないものをいう.組織学的分化度は中分化ないし低分化乳癌に相当し,予後は乳頭腺管癌と硬癌の中間に位置する.乳癌の約20%占め,組織学的特徴は癌巣の周囲の辺縁部は全周にわたって境界が明瞭で癌巣内部は主に大型の充実性癌胞巣の密在から成り,間質結合織の乏しいものをいう.充実性癌胞巣の大部分は浸潤性癌胞巣であり,充実腺管癌と非浸潤性乳管癌との鑑別が問題となる例はほとんどない.
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