臨床検査フロンティア 検査技術を生かせる新しい職種
認定輸血検査技師
奥田 誠
1
1東邦大学医療センター大森病院輸血部
pp.478-479
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100430
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はじめに
認定輸血検査技師制度は,日本輸血学会,日本臨床衛生検査技師会,日本臨床検査医学会(旧日本臨床病理学会),日本臨床検査同学院の4団体により1995年に発足した.認定輸血技師制度導入の趣旨は,「輸血は移植の一種と考えられているように,種々の副作用・合併症を伴い易く,輸血治療を行うには深い知識,的確な判断力と技術が要求される.輸血に関する正しい知識と的確な輸血検査により,輸血の安全性の向上に寄与することのできる技師の育成を目的として認定輸血検査技師制度協議会はこの制度を導入する」とされている.
柴田らによる日本輸血学会ABO型不適合輸血事故調査および対策チームは,2000年に全国300床以上,年間3,000単位以上の血液製剤を使用している医療機関777施設を対象にアンケート調査を行った1).ABO型不適合輸血実態調査の結果,ABO型不適合輸血の経験があった病院数は115/578(20%)であった.輸血副作用は軽微なものから重篤なものまで幅広いが,なかでもABO型不適合輸血(異型輸血)は最も重篤な副作用の一つである.原因の中には検査の誤りも含まれている(表1).輸血後感染症は,日本赤十字血液センターの高水準な感染症検査が行われているにもかかわらず,感染の報告は跡を絶たない(表2).認定輸血検査技師は,検査技術,輸血療法の知識は勿論のこと,輸血用血液製剤の使用に際し,利と害とを十分に習得したうえで適正使用の啓発と適切なアドバイスを医師,看護師に説明する能力が必要である.
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