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C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)は約9.5kbのプラス鎖RNAをゲノムとするウイルスであり,HCV感染の半数以上は持続感染し,慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌の70%以上が起因している1).C型肝炎の治療法はインターフェロン(INF)療法が一般的であるが,最近は,INFとリバビリンとの併用療法が施行されつつあり,その効果にはHCV量および遺伝子型が関与し,特に遺伝子型は肝障害の重症度と関連性がある2).なお,表のごとく従来からHCV遺伝子型の分類が各研究者から報告されているが,現在ではSimmondsらの分類が統一呼称として用いられている3).その判別法としては種々の方法があるが,本稿では各種HCV遺伝子型同定法の特性およびダイレクトシーケンスによるHCV遺伝子型同定法(以下,ダイレクトシーケンス法)の概要とその有用性について概説する.
各種HCV遺伝子型同定法の特性
HCV遺伝子型同定法は,わが国では岡本らにより確立した方法が標準的方法であり,スマイテストHCVジェノタイプ(特殊免疫研究所)として市販されている4).本キットはHCV陽性血清から抽出したHCV-RNAを使用し,各遺伝子型(Ⅰ~Ⅳ)共通のCORE領域の1部(272bp)を逆転写反応させ,その増幅DNAを鋳型として,各ジェノタイプ特異的プライマーを使用し,nested-PCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法によりDNA増幅を行い,得られた電気泳動パターンによりHCV遺伝子型を判定するものである.利点としてはnested-PCR法を用いることで検出感度に優れている点であるが,反面,特異性に難がある.
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