特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
11 後天性脂質代謝異常
1.肥満症
徳永 勝人
1
,
松沢 佑次
1
Katsuto TOKUNAGA
1
,
Yuji MATSUZAWA
1
1大阪大学医学部第二内科
pp.1542-1546
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917578
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肥満症の概念と臨床像
肥満は"過度に脂肪が蓄積した状態"で,食物の過剰摂取によるエネルギー供給の増加または運動量減少などによるエネルギー消費の減少によって,エネルギーのバランスが正に傾くことによって起こる.肥満の程度を判定するには,脂肪量を測定するのが理想的であるが,実際的には身長と体重を求めて肥満度を算出し,肥満の程度を判定する1).
肥満者は単に太っているということでなく,糖・脂質代謝異常をきたし,動脈硬化性疾患,高血圧症,糖尿病,消化器疾患(脂肪肝,胆石症),痛風などを合併し,死亡率を増加させている.米国では,癌がなくなるより肥満がなくなったほうが平均寿命が延びる,といわれ,1985年ロックフェラー大学のHirschらは「肥満は癌より恐ろしい」と警告している.
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