増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
Lp (a)〔リポプロテイン(a)〕
久保 信彦
1
,
剛 勇
1
,
櫻林 郁之介
1
1自治医科大学大宮医療センター検査部
pp.184-185
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909800
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検査の目的・意義
Lipoprotein(a)〔Lp(a)〕はLDL類似の特異なリポ蛋白である(図1)1).Lp(a)の血中濃度は虚血性心疾患,脳梗塞など各種疾患で動脈硬化に関する指標の一つとして測定されるが,他の脂質値と関連がないことなどから,独立した動脈硬化の危険因子とされている.Lp(a)は電気泳動上の異常バンド(mid bandなどと呼ばれる)として1970年代から各種の動脈硬化症とLp(a)の関連が研究されてきた.最近,このリポ蛋白に特徴的なアポ蛋白であるapolipoprotein(a)〔アポ(a)〕の蛋白構造が解明されて,プラスミノゲン(Pg)と類似していることが明らかになった.Pgはフィブリン上などのPgレセプターと結合してプラスミンとなり,フィブリン(血栓)を溶解する.高分子糖蛋白であるアポ(a)を有するLp(a)は,PgとPgレセプターの結合を競合拮抗して阻害することにより,血栓形成を促進する方向に作用する可能性が示された2).動脈硬化巣の組織でLp(a)が存在することも確認されている.
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