今月の主題 移植
技術解説
移植片拒絶反応の組織学的変化
石倉 浩
1
,
名取 孝
1
,
相沢 幹
1
Hiroshi ISHIKURA
1
,
Takashi NATORI
1
,
Miki AIZAWA
1
1北海道大学医学部病理学第一講座
pp.861-868
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917484
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移植片拒絶の機序の研究において,拒絶片の組織学的変化を追求することは従来より行われてきた一般的な方法である.それは光顕・電顕を用いて行われ,移植免疫反応の理解に大きく貢献してきたが,特に浸潤細胞の機能についてはまったく推測の域を出ないものであった.近年,移植抗原系の構造・機能の解明,およびリンパ球表面抗原系の解明が相次いで発展し,組織切片上でのそれらの抗原の局在の検討が可能になった.特定の機能を有する細胞の拒絶片局所への浸潤を明確に把握できるようになったのである.これには,主要組織適合抗原系の解明が十分に進んだ純系動物,およびモノクローナル抗体の開発が必要な条件であった.本稿では,純系ラットを用いた実験的腎移植の系を用い,拒絶片局所での浸潤細胞の同定,およびそれより得られる移植片拒絶反応の機序に対する見解について概説しようと思う.
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