今月の主題 移植
カラーグラフ
移植片拒絶反応の組織学的変化
石倉 浩
1
,
名取 孝
1
,
相沢 幹
1
1北海道大学医学部病理学第一講座
pp.858-860
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年本邦でも臓器移植の臨床的試行が多数行われるようになり,特に腎移植では治療法としての地位がしだいに確立されつつある.移植片生着率は各種の免疫抑制法の発達により顕著に上昇し,サイクロスポリンの登場によりさらに改善が期待されている.しかし,これらの免疫抑制法は非特異的であるがゆえに,免疫応答を介在する拒絶抑制と感染症誘発との両刃の剣となりかねず,原理的な限界が存在する.すなわち,拒絶現象の解明に基づく特異的免疫抑制が究極の目標である.
拒絶現象は細胞性免疫が主体であり,その解析には移植片中へ浸潤してくる宿主側の細胞の同定が必要である.近年のモノクローナル抗体の開発により,均一で特異性の高い抗体が大量に得られるようになり,各種浸潤細胞の同定が容易になつてきた.本稿では「技術解説」の稿とともに,純系ラットを用いた腎移植片拒絶時の組織学的変化について解説し,あわせて,モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色の手法についても紹介したい.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.