私のくふう
ビクトリアブルー-H・E染色—H・E染色標本で癌の血管侵襲を観察するためのくふう
横川 和子
1
,
大橋 ひろみ
1
,
加藤 洋
1
1癌研究所病理部
pp.571-572
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917446
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癌の血管侵襲は予後を決定する重要な因子の一つである.例えば胃や大腸の癌において,血管侵襲(静脈侵襲)の陽性例は陰性例に比較して肝転移の率が高い1,2).このために癌手術材料における血管侵襲の検索は,必須のルーチン検索項目となっている(胃癌取扱い規約3),大腸癌取扱い規約4)などでは静脈侵襲をvで表記することを勧めている).
血管侵襲の検索には従来よりエラスチカ—Van Gieson (EVG)染色がもっとも良い方法として行われていたが,このためにはH・E染色のほかに一枚多く染色しなくてはならない.H・E染色所見と血管侵襲を同時に観察できれば非常につごうが良い.そのために弾性線維染色とH・E染色を重ねるくふうが行われており,喜納はエラスチカ—H・E染色を勧めている5).しかし,この方法では切片全体が暗くなり,H・E染色所見が読みにくくなる.このためにわれわれはH・E染色が損なわれずに静脈侵襲を同時に観察できる方法として,ビクトリアブルー染色とH・E染色を重ねる方法(VB-H・E染色)を考案した.
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