医学常識
アレルギーの概念
木村 義民
1
KIMURA YOSHITAMI
1
1日本医科大学細菌学教室
pp.290-294
発行日 1964年4月15日
Published Date 1964/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916752
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はじめに
今日医学のあらゆる分野において,アレルギーという言葉ほど広く用いられているものはないであろう。否,むしろ今日あまりにも広義に用いられる結果,Pirquetが提唱した当時のアレルギー本来の意義を逸脱してややもすれば無批判に乱用された結果,アレルギーそのものの解釈をさえ誤らしめつつある感がなくもない。
周知のように,アレルギーなる言葉を提唱しその概念を確立したのはPirquet (1906)である。Pirquetによって新しく打ち建てられた概念によって,従前不明とされて来た多くの疾病を解明する有力な手掛りが与えられたことは事実である。以来60年近くを経たわけであるが,この間多くの学者によってこれが修飾され定義づけられたためその解釈もさまざまとなり,かえって昏迷をきたしたかの感がなくもない。かような意味から,まずアレルギーなる言葉の提唱されるに至った経緯を眺めてみたい。
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