グラフ
線維素溶解現象測定法
風間 睦美
1
1東大吉利内科
pp.505-512
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916596
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線維素溶解現象(線溶現象,Fibrinolysis)は名種出血,血栓症,動脈硬化症さらには炎症性反応,抗原抗体反応,中毒,ショツクなどと密接な関係があるが臨床的には出血や血栓症との関係がもっとも重要である。血中の線溶現象が異常に亢進すると,フィブリノゲン消費のほかに凝固因子の活性や血小板機能の低下また血管壁の透過性亢進が惹き起こされ,実際にはこれらが交錯して出血をきたす。逆に線溶現象が低下すれば血管内で血液は凝固に傾く。また特定の臓器でこの現象が異常となれば,たとえ血流中に大きな異常がなくともこの部位に出血や血栓をきたすことになる。臨床的には原因不明あるいは機能性の出血を現わす患者を検査していると,時に思わぬ成績が出て医師を唸らせ,これに対する治療が卓効を奏して患者を驚喜させるものであり,本検査法の中には必要検体量も僅かでかつ簡単な方法もあるので,出血傾向日常検査の一つとして線溶現象測定を行なうことをおすすめしたい。
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