1ページの知識 血液
線維素溶解現象測定法
糸賀 敬
1
1長崎大・中検
pp.1094
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906958
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傷害を受けた組織,あるいは血管に形成された血液の凝塊は,通常数日間で崩壊し,肉芽組織や線維によっておき替えられるか,完全に溶解してしまう.
このように凝血塊が溶解してしまう現象を線維素溶解現象といい,主役を演ずるのは線維素溶解酵素(プラスミン)である.この線溶現象に関与する諸因子は図に示すとおりで,かなり複雑であり,その測定法も数多く実施されている.生体内では絶えずフィブリノーゲンから転化されたフィブリンを,プラスミンが溶解しているため血栓症が惹起されないわけで,もし余剰のプラスミンが出現した場合は,抗プラスミン因子により不活性化される.その平衡状態がくずれた場合,線溶現象が亢進し,出血傾向が発現する.重篤なショック,急性細菌感染症,X線照射,各種悪性腫瘍,やけど,大手術などで線溶現象は亢進する.
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