特集 簡易臨床検査法
使い捨て検査器具
右田 徹
1
1東大病院中央診療部
pp.965-970
発行日 1967年12月5日
Published Date 1967/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916286
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使いすて器具使用の背景
近年高分子化学工業の発達にともない,医学方面でも高分子化合物製品が導入され,使いすて器具の開発利用が一段と進んで来た。使いすて医用器具の中にはいわゆる高分子化合物でないものも含まれるが,近代工業の進歩はこれらすべての製品の改良,低廉化を可能にしている。従来の医用器具とそれに相当する使いすて器具を経済性という面から比較する場合,前者についてはその原価のほかに繰り返し使用に要する諸経費を合算する必要があるが,この中には人件費が高率に含まれ,今後この諸経費の高騰は想像に難くない。かくして技術革新により従来器具と同等またはこれ以上の性能を有する製品が容易に得られるようになるとともに,使いすて器具の低廉化とこれに対して従来器具維持費の高騰という経済事情が加わるため,将来使いすて医用器具はますます普及するものと考えられる。わが国でも医療施設により,あるいは医用器具の種類により,すでにかなりの使いすて器具が採用されているが,現状はむしろ作業の能率化や医学上の要請が優先し,経済性はある程度無視されている場合が少なくない。
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