特集 使い捨て物品
使い捨て物品と安全性
河合 忠
1
1日本大学・臨床病理
pp.27-29
発行日 1968年7月1日
Published Date 1968/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203380
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
使い捨てあるいはディスポーザブル(disposa-ble)物品というのは,ただ1回使用するだけでそれぞれの使用目的を果たし,それ以後は再び使用されることなく廃棄されるものである。このような使い捨て物品の病院内における利用度は,近年とくに増加している。その理由として,ひとつには一般的に衛生観念が向上したためでもあるが,それよりも文明国の共通した傾向として,人件費が上がって,用器の洗浄に従事する人たちを確保するのが困難になってきたためであろう。
すなわち,使い捨て物品は一見衛生的に処理されており,手軽に取り扱うことが可能であり,さらに患者自身に与える心理的影響も少なくない。こうして病院ばかりでなく一般家庭にまで,使い捨て物品に対する需要が急速に増大してきたわけである。ところが,使い捨て物品の"手軽さ"という特徴から,ともすればそれらの廃棄処分が安易になっていないだろうか。この点については,すでに本誌26巻8号において"病院の廃棄物"と題する特集として,一部とり上げられたことがある。しかし,改めて使い捨て物品に対する安易な考え方に対して,院内感染の立場から考え直してみる必要があると思う。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.