特集 グラフ特集臨床検査の基礎
血清検査の基礎手技
交差適合試験
村上 省三
1
1東大輸血部
pp.139-143
発行日 1966年11月25日
Published Date 1966/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916047
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交差適合試験は輸血に際してかならず実施しなければならない検査である。現在われわれは輸血に際して一般には受血者と供血者との間でABO式血液型さえ(一部ではRh0(D)因子も)一致していればよいとする。しかし御承知のように血液型にはたくさんの種類があり,それらの因子に対する抗体を受血者か供血者が持っていることもあり得るので,一部の血液型さえ同じであれば安全であるとはいえない。それで輸血を実施する前にはたしてこの血液をこの患者に輸血していいかどうかチェックする大切な検査法である。
交差適合試験にもいろいうな方法がある。食塩水法,血清法,アルブミン法,酵素処理法,間接クームス法などである。これら全部を実施するとなると大変な時間と労力を要するので,急の場合には間にあわない。そこで一般にはあまり時間を要せず,しかもかなり正確な方法を実施することになる。それには血清法やブロメリン法がある。輸血で問題になる抗体は主として不完全抗体であるので,食塩水法のみ単独に実施するのはよくない。また上の二つの方法で適合であっても,溶血性副作用と思われる障害を発生した時は,すべての方法を実施して,どの方法で問題の抗体が検出できるかを調べ,爾後はその方法をも加えなければならない。
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