研究
自働血球計数器用の標準保存赤血球浮遊液について
星野 孝
1
,
森川 清子
2
,
瀨尾 邦子
2
,
矢崎 千秋
2
,
城内 治子
2
,
金子 瑛子
2
,
片岡 寿子
2
1京大病院・内科第二講座
2京大病院・中央検査部
pp.163-167
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915908
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はじめに
近年臨床検査室の自動化がすすみ,多くの血液検査室においても自働血球計数器が普及してきた。現在用いられている自働血球計数器には,血球固定方式,血球抵抗方式,血球誘電率方式,血球移動方式等々,測定原理や構造に多くの種類があって,それぞれ一長一短があるが,いずれの方式でも,測定感度は目算値を基準として設定しなければならない。すなわち現在使用に供せられている自働血球計数器は,いずれも誤差の多い目算法による血球数算定を予め行なっておき,その測定値に合わせて器械感度を設定するという欠点を有している。そこで器械の計数特性曲線上plateauxの部分の広い器械では感度設定の誤りによる器械計数値の誤差も少くてすむが,この狭い器械では,目算値の誤差が直接に器械計数値の誤りを招くことになる。したがって熟練した技術員が行なっても±5〜10%の誤差を伴い,かつ測定者の個人差も考慮しなければならぬ目算値をもって器械感度を調節する操作には大きな問題がある。図1および図2は,島津型自働血球計数器(以下島津型計数器)と東亜型自働血球計数器(以下東亜型計数器)による赤血球計数に際し,器械計数値と感度または弁別電圧の関係を示したもので,いずれの型にも厳密なplateaux部分は存在せず,特に島津型計数器においては目算値と一致する計数値を示す感度附近でも曲線の傾斜はかなり急激であって1),正確な感度設定がきわめて重要である事実が示されている。
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