Ex Laboratorio Clinico・17
ウリカーゼ・カタラーゼ法の創製
影山 信雄
1
1社会保険中京病院検査部
pp.514-519
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914746
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忘れられない日
1970年1月16日.この日は私にとって生涯忘れられない日となった.かねてからご批判を賜わるようにお願いしていた尿酸の測定法1)について,虎の門病院臨床化学検査科部長北村元仕先生より"ウリカーゼ・カタラーゼ系による尿酸測定法は世界でも初めてのものかもしれない.ハンチ反応より感度の高いクロモトロープ酸などで微量化することができないか.1mlの血清量は時代遅れである.除タンパクしないで反応させることはできないか.これができれば微量化へのアプローチにもなるだろう"とのご指導をいただき,同病院生化学科中山年正先生からも便箋3枚にびっしりのご指導が同封されており,更に"知る範囲内での文献調査では,この原理による方法は見当たらない.もう一度Chemical Abstractなどで調べたうえで英語の論文にしたらどうか"とのご鞭撻をいただいた日である.両先生からのお手紙は今も大切に保存しているが,正直言ってこのときの気持ちは何と表現してよいか分からなかった.このような過大な評価をしていただいたことは無上の喜びであったが,その反面,これは大変なことになったぞ,という不安が入り交じっていたことも事実であったし,ウリカーゼ・カタラーゼ法が,これほど問題になるとは思ってもいなかったからである.ご批判を得ることを勧めてくださった稲生富三技師長からは"そうれ,みよ"と言われ,ただ頭をかくのみであった.
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