新しいキットの紹介
簡易同定キットOXI/FERM TubeとENTEROTUBEの併用による尿路感染菌同定の試み
丸山 博巳
1
,
前嶋 義文
1
,
二宮 康行
1
,
有沢 幹雄
1
1日本ロシュ研究所微生物学化学療法部
pp.87-94
発行日 1978年1月15日
Published Date 1978/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914646
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はじめに
迅速でしかも正確な種の同定は臨床細菌検査の要請であるが,操作法から言って従来この2者はしばしば対立するうえ,技師の経験と熟練による部分が多く,特に小規模施設では特殊菌以外は完全同定に至りえない場合が多かった1).最近この実状の改善を目的に,特に腸内細菌科の菌属・種については多くの簡易同定キットが開発され,その有用性が確認されて各施設で用いられている2).我々が先に報告した3,4)Enterotube(以下E-tube)-ENCISE5)*もその一つである.他方,ブドウ糖非発酵グラム陰性杆菌についての知識は十分普及しているとは言えず,同定の簡易化も進んでいない.更にこれらの菌の分類・命名にも多くの論議があることなどから,多くの検査室ではPseudomonas aeruginosa他2,3の菌種が同定できるに過ぎない.しかるに近年のopportunisticinfectionの増大に伴い,これら非発酵グラム陰性杆菌の正確な同定の必要性はますます高まっている.我々は,非発酵グラム陰性杆菌の簡易同定を目指して開発されたOXI/FERM Tube**(以下OF-tubeと略称)と,従来からのE-tube-ENCISEとを併用し,Urotube6)を用いて患者尿より分離したグラム陰性杆菌の同定を試みたので,OF-tubeの特徴を含めて報告したい.
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