技術解説
注入法による血管構築検査法
奥平 雅彦
1
,
佐々木 憲一
1
,
中 英男
1
1北里大学・病理学
pp.357-365
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914321
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臓器を構造単位・機能単位として立体的に把握する方法として,組織の連続切片から構築を復原する方法(組織学的復構法)が多く用いられているが,血管内に合成樹脂や色素などを注入し検索する方法は,立体像のひずみが少なく,得られる所見が具体的であるため,目的により非常に有効である.血管は臓器の生命を保つ役目と,その固有の機能を果たすために必須のものであり,血管の変化は,臓器機能の主役たる実質細胞の変性壊死を来すとともに,実質細胞の障害によっても血管が大きく変化する.したがって,その実態を具体的に捕らえるための注入法は,病態の理解に多くの情報をもたらす検索方法である.
血管構築検査を目的とする血管注入法には,合成樹脂注入法と色素ゲラチン注入法の二つの方法がある.前者は合成樹脂を血管内に注入し,重合固化した後に周囲の組織を腐蝕,溶解,除去して合成樹脂鋳型標本を作り,その血管樹を観察する方法である.後者はゲラチンをベースとし,これに造影剤あるいは色素などを混和して注入を行い,冷ホルマリン液中で組織を固定するとともに注入したゲラチンを固化するものである.両者ともにX線撮影により臓器内の血管樹のパターンを立体的に観察することができる.
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